健康経営 食事セミナーの疑問3選!管理栄養士が回答します

健康経営における食事セミナーに関するよくある質問とは

健康経営における食事セミナーに関して、さまざまな疑問や不安があるのではないでしょうか。
この記事では、健康経営の食事セミナーでいただく代表的な質問について回答します。

Q1 食事セミナーのテーマはどのように決めれば良いですか?

食事セミナーと言っても、テーマは多種多様です。
健康経営の食事セミナーは、企業が抱える健康課題の解決につなげることが重要なため、
「とりあえず食事のセミナー」とせずに、本当に必要なテーマを設定することが大切です。
年代や性別が変われば、興味のあるテーマや健康課題は異なります。
また、業種や職種によっても健康課題やライフスタイルは変わります。
・自炊をする人が多いのか、コンビニ食や外食を活用する人が多いのか
・日勤だけか、シフト勤務や交替則勤務があるのか
・お菓子や清涼飲料水の摂取が多い傾向にあるか
・飲酒習慣はどうか
・健康診断で有所見者が多いのはどの項目か
・朝食の欠食率はどうか
など、さまざまな切り口でテーマを検討することで
従業員にピッタリのテーマを選定できることが理想です。

健康経営担当者の希望でテーマを決定する場合もありますが、
可能であれば、従業員のニーズや課題を踏まえて決定できると良いでしょう。
従業員のニーズは、アンケートを行ったり、日常の会話から聞き出したりすれば把握ができるでしょう。

よくある食生活セミナーのテーマを紹介します。

  • 健康的な朝食の選び方:朝食を抜く人が多い職場では、朝食欠食が体へ与える影響や、手軽に食べられる朝食の選び方について解説するセミナーが効果的です。朝食は午前中の作業効率や睡眠の質、メンタルにも影響を与えるので、健康経営では非常に重要なテーマです。
  • 生活習慣病やメタボ予防のための食事:生活習慣病やメタボのリスクが高い従業員が多くて困っているという職場も多いでしょう。生活習慣病が急増する40代からではなく、20〜30代の人も興味を持って対策を始められるよう、ライフスタイルに合わせた食事の選び方を解説するセミナーが効果的です。
  • 外食やコンビニ食でもできる健康的な食事の選び方:職場に食堂がなかったり、オフィス外で活動する業務であれば、外食やコンビニ食の利用頻度が必然的に増加します。健康管理担当者や健康経営担当者には、この食環境が頭を抱える要因にもなりかねません。しかし、外食やコンビニ食でも健康に配慮したメニューが増えていることもあり、少しの意識で健康度を高められる工夫はたくさんあります。誰でも手軽に実践できる手法を伝えるセミナーが効果的ですし、従業員の人気も高い傾向にあります。
  • ストレスマネジメントと食事の関係:現代の多くの人はストレスを抱え、メンタル不調へと繋がるひとも少なからず存在します。ストレス発散を目的とするやけ食いや多量飲酒は体への健康も不安です。ストレスとうまく付き合うためには、食生活も非常に大切です。ストレスマネジメントと食生活の関係について解説するセミナーに効果が期待できます。
  • 体重管理に関するテーマ:体重、ダイエットのテーマはどの世代・性別にもニーズの高いテーマです。なぜ体重が増え続けるのか、効果のあるダイエット方法は何かなど、専門家が正しい知識を伝えることは、将来の健康維持には非常に大切です。
  • 健康診断結果と食事の関係:血糖値・血圧・コレステロール値や中性脂肪値の改善が、健康経営では求められます。メディアやSNSの情報には信頼できないフェイク情報がまぎれていることが多くあります。専門家から正しい知識を得て、食生活から健康診断結果の改善につながるテーマを選定することは、従業員にとっても企業にとっても大きなメリットがあります。
  • 要介護やフレイル・骨粗鬆症予防:高齢従業員が多い職場では、要介護予防やフレイル予防のテーマは非常に人気です。若い世代とは異なる健康課題を有するようになるため、高齢従業員向けのテーマが設定できることは理想的です。高齢従業員の転倒予防には食生活も大きく関係しています。

このようにセミナーテーマは多岐に渡ります。
テーマをを決める際には、事前に従業員にアンケートを実施し、
従業員が知りたいこと、困っていることを把握しておくことが大切です。
従業員の声を反映したテーマにすることで、従業員の参加意欲を高め、セミナーの効果を高めることができます。
また、食事セミナーを依頼する先が、これらの細かなテーマに対応できるかを確認しておくことも大切です。

Q2 従業員は食事セミナーにどれくらい参加してくれるのでしょうか?

従業員が食事セミナーに参加してくれるかどうかは、
セミナーの内容や時間帯、開催方法や場所などによって異なります。
しかし、従業員の健康に対する意識が高まっている場合では、
多くの従業員が参加してくれる可能性が高まります。

従業員に食事セミナーへの参加を促すためには、以下の様な工夫が考えられます。

  • セミナー内容を魅力的にする:従業員が興味を持ち、参加したくなるような魅力的なテーマ設定や、実践的な内容にすることが重要です。従業員のニーズにぴったりなセミナーを企画するためにも、従業員が知りたいことや困っていることを把握することも大切です。
  • 参加しやすい時間帯や場所を選ぶ:従業員が参加しやすい時間帯や場所を選ぶことが重要です。例えば、ランチタイムや休憩時間、オンラインでの開催など、従業員の都合に合わせた開催方法を選ぶことが大切です。その他、録画配信なども検討すると良いでしょう。
  • 参加特典を用意する:セミナーに参加した従業員に、プレゼントやクーポンなどを配布することで、参加意欲を高めることができます。
  • 上司からの参加推奨:上司から参加を推奨することで、従業員の参加率を高めることができます。
  • 従業員の健康意識を高める:健康意識が高まれば、セミナー参加への優先順位は自然に高くなります。セミナーを企画する前にアプリやチェックリストなどを活用して、自身の健康と向き合う機会をつくることも重要です。

これらの工夫をすることで、従業員の参加率を高め、セミナーの効果を高めることができます。

Q3 効果測定はどのように行えば良いですか?

食事セミナーの効果を測定することで、セミナーの内容や企画の改善点を見つけることができ、
より効果的なセミナーを開催していく上での知見が蓄積されます。
効果測定の方法としては、以下の様な方法が考えられます。

  • アンケートの実施:セミナー後には、従業員にアンケートを実施し、セミナーの満足度や理解度、行動変容などを確認します。
  • 健康診断結果の比較:セミナー前後の健康診断結果を比較することで、従業員の健康状態が改善しているかどうかを確認します。
  • 従業員へのインタビュー:セミナーに参加した従業員にインタビューを行い、セミナーで学んだことや、食生活がどのように変化したかなどをヒアリングします。
  • 業務効率の改善:セミナー実施前後で、従業員の業務効率が改善しているかどうかを確認します。

これらの効果測定の結果を参考に、セミナー内容を改善していくことで、より効果的な食事セミナーを実施し、従業員の健康増進に貢献することができます。

この記事を書いた人

植村瑠美

管理栄養士 健康科学修士
健康経営エキスパートアドバイザー

◆Profile◆
(株)健康支援BonAppetit 代表取締役
急性期総合病院で管理栄養士として10年間勤務し、生活習慣病患者を中心に5,000人の栄養指導を担当。現在は、多くの人が利用するコンビニ食や外食から始められる「食事の選び方」に着目した食事改善法をセミナー等で伝える。栄養素から伝える“理想的な食生活” ではなく、身近な食品から伝える  “超実践的な食生活”を伝えるセミナーが行動変容が起きやすいと好評。